小児糖尿病サマーキャンプ2005報告 Home > 小児糖尿病サマーキャンプ2005報告
■ 2005年7月 小児糖尿病サマーキャンプ2005報告
陣内病院薬剤部 西村博之

 7月23日〜25日までの三日間、産山村のファームビレッジ産山で第37回小児糖尿病サマーキャンプが開催されました。 2日間の参加でしたが、患児達のたくましさを感じることができました。

【小児糖尿病教室開催】
 私は昨年に引き続き2回目の参加で、今年も小児糖尿病教室を開催しました。簡単に説明しますとインスリンパネル と生活時間表を組み合わせて血糖とインスリンの日内作用動態をビジュアルで確認できる表を工作する勉強会です。
 最初の一時間は小さい子達も参加してもらいましたが理解するにはまだまだ幼すぎたようです。結局後半は、小学 校高学年から高校生までの子供たちで何とか教室を再開しました。作成後、どんな時に低血糖が起こるかなぁ?」と 子供たちに聞きますが、自分も昔はそうでしたが、……。子供たちに発言させることの難しさを痛感しました。ヤン グの会のメンバーにも積極的に意見をもらったのですが肝心の子供達の意見が出ないので、仕方なく生活時間表の説 明をしながら低血糖や高血糖が起こる原因についてレクチャーし、時間稼ぎのために用意していたインスリン注入器 故障原因の推理と簡単な実験(注射針の留置時間、インスリンカートリッジ内への気泡混入の影響について)をして ちょっと盛り上がりました。(これが最高に盛り上がった瞬間であり、講師としての至らなさを痛感しました。)

【低血糖発生!!】
 二日目に昼食の準備をしていると「唐揚げが食べたーい」と4歳の患児が大声で駄々をこねていました。患児の母親 は、「さっき血糖測ったら57mg/dlでした。」とのことで、低血糖症状が疑われました。小さな子供の場合、低血糖 になるとぐずることがよくあるそうです。吸収のよい糖分をと思い、オレンジジュースを差し出すと、「唐揚げが食 べたーい。唐揚げじゃなきゃいやだー。」と泣きわめきます。しかし、キャンプ場に唐揚げはありません。「ずいぶ ん(血糖が)下がってきているかもしれませんね。」患児の母親と話しながら、今度はブドウ糖ゼリーを口の中に押 し込みますが、口を閉じたまま開けようとしません。患児はどの食べ物(飲み物)も受け付けず、結局救護室でブド ウ糖の注射を受けました。
1時間後にその子に会った時は、もうけろっとして遊んでおり、母親に聞いたところブドウ糖の点滴を受けた後におに ぎりも食べたそうで、血糖値を確認すると100mg/dl以上まで回復していました。
低血糖の補食を受け付けない患児を見るのは久しぶりで、「自宅ではグルカゴン注射必携だなぁ…」と思いました。