当研究会では、熊本県下の薬剤師に対し、糖尿病患者への指導に有用な知識を系統的に学べる場として、研修会を開催しています。
しかしながら、この領域で著名な先生をお招きし、貴重なお話を聞く機会を設けることができるという反面、
受身の勉強会となりがちで、参加者同士の意見を集約する場にはなりずらい状況であると感じます。
また、地域によっては参加しづらい場合もあるとのご意見が寄せられ、当研究会の調査においても糖尿病患者に接する
頻度に地域差はあまりなく、ひろく情報の共有化を含めた学習の場を設ける必要があ
ると考えました。つまり、指導者育成と地域連携(薬薬連携)強化の取り組みが重要であると考えました。
そこで、能動的且つ実践的学習に基づく指導者育成と薬薬連携の強化を目的として、当研究会スタッフが熊本県下の各薬剤師会支部などにおいて、すでに行われ
ている勉強会に出向き、活発な議論が可能な形態の勉強会であるリエゾンカンファレンスを開催する本制度を発足することとしました。
この取り組みについては、すでに日本薬剤師会学術大会、熊本県薬剤師会学術研修会、熊本県薬剤師会の会報「熊薬会報」などに
おいて、紹介させていただいております。
■ 本制度リエゾンカンファレンスの概要と特徴 |
(1)概要(コンテンツ)
@症例検討
A療養指導のエッセンスに関する解説
B当研究会認定薬剤師制度の紹介
(2)特徴
第一に、PBL(問題に基づく学習)の学習形態を参考とした当研究会スタッフがチューター
を務めるSGL(少人数グループ学習)形式の症例検討にあります。
具体的には、典型的な糖尿病患者の症例を提示し、参加者同士が議論し、問題点の抽出、評価および計画に
ついて、意見を集約する中で、個々の参加者がそれぞれに、必要な基礎学習のリスト(LIS)を作成し、糖尿病療養
指導に必要な知識の整理を行うというものです。
第二に、症例検討の中で作成されたLISや疑問点などの解消にヒントとなる情報源や考え方について、実践的に
「療養指導のエッセンス」として、解説する点です。この際、利用するスライドは、CDEの認定を受け、主に病棟での
薬剤管理指導業務を行う当研究会スタッフのみならず、薬局勤務薬剤師を含む当研究会認定薬剤師の意見も集約した
形で構成されたものです。膨大なスライドの中で、ニーズに合わせて利用することができるようにしています。
第三に、参加者の中から、当研究会認定薬剤師制度の受験希望を取り込み、当研究会認定薬剤師制度がひろく受け入れられ、
指導薬剤師育成のネットワーク構築につながる構想だと言うことです。
以上の三部構成により、指導薬剤師の育成および薬薬連携の強化のために必要な総合的な対策(サポート)ができると考えています。
さらに、リエゾンカンファレンスの開催は、地域薬剤師会支部を対象とすることで、SGL形式の症例検討が可能な参加者数の調整や
班分けにおける参加者の所属(病院勤務または薬局勤務など)構成の調整、地域に存在する医療機関の診療科目や地域連携(病診連携)
、地域特性を反映させた議論を行うことができ、薬薬連携のあり方についても議論しやすいのではないかと考えます。
その他、参加者を対象としたアンケート結果からも地域薬剤師会支部単位で開催する意義が示唆されています。
症例検討の症例については、開催地域で実際に困っている症例を取り上げることも可能で、その場合、
予め情報を頂き、当研究会スタッフおよび当研究会認定薬剤師とで隔月開催するDSSGNETカンファレンス
において検討したうえで、リエゾンカンファレンスに臨みます。
■ 当研究会講師がお話しする内容について |
症例検討後、当該症例の療養指導に関連する基礎的知識整理のための内容です。
当研究会スタッフが作成した10項目以上に大別される糖尿病患者指導に関連する
スライド(総枚数百枚)からニーズに合わせて使用します。このスライドは、
薬局勤務薬剤師を含む当研究会認定薬剤師の意見も取り入れて編集したものであり、
糖尿病療養指導士認定受験ガイドブック、糖尿病治療に関連する各種ガイドライン
などを参考に作成しています。エビデンスに基づいた基本的内容、明日からの業務に有用な実践的内容、
薬局勤務薬剤師と病院勤務薬剤師の連携に有用な内容です。
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■ これまでの実績 |
第1回は、2008年5月31日天草郡市薬剤師会で行いました。
参加者数:27名
取り上げた症例:妊娠糖尿病から放置され、2型糖尿病と診断された事例
@入院までの経過に関する情報を受けて問題点を個人で吟味
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A問題点について参加者同士で議論
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B検査値や背景を考慮した問題点の捉え方について議論
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